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梅々

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梅雨

「あーあ。雨でさ」

 口振りは煩わしそうなのに横顔はそんなことなくて寧ろ、柔らかく口角が上がっている。そんな沖田を土方は不思議な気持ちで見る。
 午後六時、最寄り駅側本屋前。傘を持っている人が殆どなのは何故なのか。土方が見た天気予報は晴れだったのだが。ところどころ、悠然と傘をささずに歩いている人も見るが少し、きつい雨量。自分一人ならいいが隣の存在が気にかかる。雨に濡れた姿に堪えられるはずがない。ひた隠しにしている恋情を。

「時間大丈夫か?」
「俺は暇人だからねィ。あんたこそ大丈夫ですかィ。予備校あんじゃねぇの」
「今日は休みだ」

 そうじゃなきゃ一緒になんて帰らない。別れるのが名残惜しくなってしまうからだ。
 雨は暫く止みそうもない。だからといって隅から隅までひやかした本屋に戻るのもどうか。傘を買う手もあるが、家に行けばあると思えば勿体無く。
 総悟が楽しそうならいいかと土方は横顔を眺める。爛々と瞳を輝かせ待ち行く人々を眺めている沖田は同い年に見えない。いい意味でも悪い意味でもだ。
 綺麗だ。この時期から現れる男臭さも縁遠い、中性的な顔立ちに体つき。悪いは無意識であるが沖田自身が払ってきたから案外と楽で、あと一匹、質の悪い虫が此処にいる。蝶のフリをして花の傍にまとわり続ける、蛾だ。

「土方さん」
「ん?」
「どうせ金曜だしこのままアンタんち泊まりに行きやしょう」
「は?」
「走りやすよ」

 せぇの、一方的に言って駆け出した、沖田の後を土方は慌てて追う。
 白いシャツに大粒の雨が当たって段々と肌に張り付いて透ける、その様から目を逸らせば濡れた髪が目に入る。斜め後ろを行く土方はふんわり、甘い匂いがした気がした。





梅雨明け前に梅雨っぽいのを。
文藝の作品できました!漫研はあとペン入れ9Pとあとがき!大分進んだけど間に合うか不安。

エアコンにやられて喉の痛みがクライマックス。
明日は羽織物をもっていこう。
この小ネタ、攻めどっちだろう。

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祝☆映画化

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