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梅々

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春の宵

拍手ありがとうございます!
〆切と旅行等予定とがブッキングしすぎててそろそろ悪夢を見そうです。
表紙はできてるけど中身ができてない個人誌、無事でるのか。





鼻先をくすぐる風は春の匂いがした。
まだ寒いというのに、もう別れの季節でそこら辺を歩けば柔らかな色の花が蕾を付け、或いは咲き始めている。
春なのだ。別れと出会いの季節。
後少しで、俺も、この人とはお別れだ。
そう、俺が実感し始めた頃から、土方さんは寝るときにきつく俺を抱きしめるようになった。二人きりの、高校の寮の一室。四月になれば此処は母校になり思い出の場所に早変わり、俺の居場所はなくなる。
土方さんは国立の大学へ通うから上京するし、俺も働き口が見つかったから地元へ戻って、離れ離れになる。
今生の別れ、とまでは言わないけれどもしかしたらそうなるかもしれないし、会えたとしても数えるほどだろう。
だから、俺は別れたいといったのに土方さんは首を縦に振ってくれない。
大学は共学だしここのような閉鎖的な場所ではないから、いい女なんていっぱいいる。土方さんは俺みたいに元から男しか駄目なわけじゃないから、きっと、気になる人もできるのだ。
そのとき心変わりして終わるぐらいなら、今終わってくれたほうがずっといい。なんて、考えてることを知っていて、だからこそ土方さんは頷いてくれないのだ。
「……総悟」
僅かに開けたままの窓から雨音が忍び入る。
「なんですかィ」
「俺は、おまえさえいてくれりゃいいんだ。変なこと考えるな」
頭を撫でながら、そんな風に言ってくれる。
俺は、その言葉があれば何もいらないから。
惨めになる前に切り捨てて。

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祝☆映画化

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