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梅々

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トイレの日

いけないこと、しやせんか?
小首を傾げて悪戯な瞳で恋人にそんな風に言われたら、誰が頷かずにいられるだろう。まして俺は健全な男子高校生。青春真っ盛りなわけで。
体裁のために面倒なふりして、歩き出した総悟の後に続く。休み時間はあと五分。五分で何ができるだろう。というかどこまでできるだろう。次はどうせ国語だ。サボる手もある。なんて考えていたら、男子トイレの前で総悟は立ち止まり、此方を向いて唇の前で人差し指を立てた。抗うなんて時間の無駄なので大人しく頷き、トイレに入る。
二個ある個室のうち一つは閉まっていた。開いている方へ入ると鍵を閉め、総悟はちょいちょいと手招きをする。これまた素直に耳を寄せてやる。

「隣にいま、近藤さん入ってるんでさ。上からこれ落としてビックリさせやしょ」

耳に吐息がかかり、こそばゆい。沸き上がる不埒な思いを抑えつつ見れば、総悟の手元にはよくあるリアルなオモチャのイニシャルG。
いけないこと、ね。確かにこれは常識的にはいけないことだけれど。幼稚すぎはしないか。
近藤さんが横にいるのはプレッシャーだが、それよりもっといけないことをしないか?
なんて言ってすんなり要望が通る相手ならいいけれどありえない。
和式トイレのパイプの上に片足を乗せた総悟の腰を支える。物音は極力立てないようゆっくりと、総悟はつま先立ちになった。玩具が、個室を隔てる壁と天井の間に乗る。
一押しで、それは隣の個室に落ちた。
束の間の沈黙、そして。

「うんぎゃぁぁぁぁあい!!!!」

奇っ怪な絶叫の直後にドアを開く音、廊下を駆け抜けていく跫がした。残されたのは水の流れる音だけ。
律儀に流すなんて、流石近藤さん。それよりもちゃんと拭けたのか疑問だが。
パイプから下りる総悟の細い腰を支えて、下りたところを掻き抱いた。総悟は、俺の胸に凭れて大爆笑している。

「近藤さんすごいですねィ! 流すなんてあの人らしいでさ!」

「・・・おまえ本当最低だな」

「共犯なくせに何言ってるんでィ、土方さん」

愉快で堪らなさそうに目に涙を浮かべる総悟は無邪気に俺を仰ぎ見る。
おまえの遊びに付き合ってやったんだから、俺の遊びにも付き合えよ。言う代わりに唇を塞ぐ。それと同時にチャイムが鳴り始めた。坂田の授業なんて出席しようが欠席しようが変わらない。誰もいない今だから、できる悪戯を。

「いけないこと、しないか?」





男子トイレってあれ、ゲームとかでしか中を見たことがないからあまり想像がつかない。青いイメージはある。
このあと土方が主導権握ると思いきや沖田が積極的になって、土方は何度も喉を鳴らす羽目になる。
土方は欲情して喉を鳴らして、その際沖田は土方の喉仏を見て欲情するんです!
土方の喉仏はいかがわしい。沖田は首筋がいやらしい。白くて細くて綺麗すぎて寧ろいやらしい。それが沖田。
土方はストイックすぎていかがわしい。
いやらしいといかがわしいのニュアンスの違いを詳しく知りたいー。
明日辞書ひこう。
おやすみなさい!

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