梅々
苑咲早良が運営する銀魂BL小説サイトです。 心意気は18禁。 著作権的な何かは放棄していません。マナーは守ってください。 メールフォームやコメント欄は下にありますので、何かございましたらお気軽にご使用ください。感想とか頂ければ舞い上がります! 不定期更新な別館を作成しました。ミツバさん愛してる! 気が向いたらお越しください→http://tokosienoai.dou-jin.com/
久々の更新。
魔王を親が見てるのでちょこちょこ見ていますが、面白い。夫婦土沖で浮気してる沖田ください。土方はお偉いさんだから息がつまるんだよきっと。「俺は絶対に別れない」って土方がいえばいい。失楽園ですねー。
または土方が間男でも沖田が不倫相手でもいい。
不倫は心ごと、浮気は体だけ、という区別。
では久々の更新です。五周年記念ネタ続き。銀沖要素が強いです。久々なので思い出しつつ読み返しつつなのでまだ進んでないです。すみません。
リリスの微笑み
瞼を開けると体の節々が痛かった。それに喉にも違和感がある。頭もぼーっとする。初めてだったからだろうなと、ぼーっと見上げていた天井から視線を離し、横を見ると銀色のくるくるした毛玉があった。
毛玉じゃない、頭だ。
ぱちぱち瞬きをするとその頭が上がる。視線が交わったらにこり、旦那は笑った。
「おはよう」
「お、はようございやす」
潰れたひどい声だ。そんな自分の声にげんなりするも、旦那は相変わらず緩い顔をしている。さわり、頭を撫でられて、額に冷たいものが置いてあるのに気づく。億劫に思いつつ手を伸ばしてみると、冷やした手拭いのようだった。気持ち良くてうっとりと、瞼を閉じそうになるけれどそれよりもまずはお礼を言わなければ。
「ありがとうございやす」
「礼なんていらねぇよ。俺の所為なんだから。体つらくねぇ? 大丈夫?」
「うーん。ちょいとだるいでァ」
「熱も出ちまったからな。今日はゆっくりしろ。俺も傍にいてやるから」
額に当てられていた手拭いが外されて、洗面器の水につけてから絞られる。久々に寝込んだ上に久々にまともに看病されるから、なんだかむず痒い。
俺が授業を休むのは別にいいけど、俺のせいで旦那に迷惑をかけるのは嫌だ、そう空咳をしながらも告げると困ったような顔をされた。
「俺が傍にいたいんだよ」
「……っ」
目を見て真摯にそう言われて、どきりとした。顔に熱が集うのが分かって視線をそらす。旦那はこんなキャラだったか。少し思考を泳がすと、ふざけた口調ではあったがこっぱずかしいことを言われたことは多々ある。何れも本気だったのならば、冗談だと交わしていたのが申し訳ない。
よくよく考えてみれば、随分とアプローチされてきていたのだ。俺は、気づかずに酷いことをしてきたのかもしれない。
「……旦那」
「なに?」
視線を旦那に戻す。変わらず優しい目をしていて、むず痒くなる。
こんな俺を好きなのだと、旦那は言う。こんな俺を。全部知っていて尚、嫌わないで、甘やかして優しくする。こんな風に愛されるのは初めてで、どうしたらいいのか分からない。
ただひとつ分かるのは。土方さんと一緒にいるよりは、気が休まるということ。
「俺、旦那のこと好きだけど、土方さんのが好きなんでさ」
「……うん」
「アンタを、利用することになるけど、それでもいいなら一緒にいてくだせェ」
ずるい俺は、わざわざ言葉にしてアンタに選ばせる。捨てないで、側にいてって必死に思いながら。
俺が夢魔だって知っていながら、体だけじゃない、俺自身を愛してくれた初めての人だから。大切なのに結局は今も、傷つけているけれど。
「それでいいよ。一度寝たぐらいで靡かれても困るし」
そう言って頭を撫でてくれる大きな手に安心する。土方さんが手に入らないから逃げているだけだと分かっている。旦那だって当然分かっているだろうに。
じゃあ俺と同室ね、とにっと笑う旦那にこくりと頷く。
そのままうとうと、眠りに落ちるべく意識を手放しかけていれば、コンコン、とノックが聞こえてきた。それが大分夢うつつな状態だったから目蓋さえ開けるのに重たくて、ん、と小さく声は出ても起きる気力がわかない。無視しちゃおうか、思っていれば旦那が瞼の上に手を置いた。
「俺が出るから、寝てな」
「……へい」
あとで礼を言えばいいかとぼそぼそ聞こえる声を聞き流していると、怒鳴り声が聞こえてきてはっと目が覚めた。
土方さんの声だ。
若干重い瞼をぱちぱちと瞬かせていると、どたどた、荒っぽい足音が聞こえてきた。億劫に思いながら部屋の入り口に視線を向けると、土方さんが入ってきたところだった。後ろから困り顔というか呆れ顔の旦那の姿も見える。
きっと眉をつり上げ、うるさく部屋に入ってきたけれど、俺と視線が合うなり土方さんははっと表情を変え、足早に枕元へ寄ってきた。
「熱あんのか、平気か?」
「ん、大丈夫でさ」
「だから寝込んでるつっただろー」
「うるせぇ」
さわり、頬に手の甲を当て熱いなと呟く、優しげな声にどきどきした。心配されてるのが嬉しくて、にやけそうになって布団を口許まであげる。そしたらひとつ、不安が生まれた。
昨日この部屋で、俺は旦那に抱かれたのだ。その証が、残っていたらどうしよう。匂いだとか空気だとか、タオルだとか。もしそれが、土方さんに見つかったら。
土方さんだけには知られたくない。淫らな行為が何よりのごちそうな、この体のことを。いま寝込んでいるのだって、初めてだから食べすぎてしまったようなもので、本当は心配される筋合いはないのだ。
すん、と息を吸っても最中のような甘い匂いはしないから大丈夫だと思うけれど。
「寝込んでるとこ悪いが、総悟」
名を呼ばれて漂わせていた視線を土方さんに戻す。熱があるからか視界が潤んで、わりと至近距離に土方さんがいるけれど邪なことは考えずに済む。
「……なんでさ」
「コイツを選んだって本当か」
くい、と親指で旦那を指す土方さんになんのことだろうと僅かに首をかしげる。するとそれだけで伝わったのか、部屋のことだよと旦那が教えてくれた。
もう言っちゃったのか、と思うと同時に旦那が言ってくれてよかったと思った。せっかくの土方さんの誘いを、同室になるチャンスを自分で絶つのはかなり勇気が必要だろうから。いつ血迷うか分からない。報われやしないんだからただ、傍にいられればいいけれど、劣情に突き動かされて何をするか。もしも襲いでもしたら、こうして過保護なぐらい世話を焼かれることもなくなってしまう。そんなのは嫌だ。
だから、こくりと頷いた。
「旦那に、頼みやした」
「……本当にこいつでいいのかよ」
「へい」
「気が変わったらいつでも言えよ、総悟」
変わることはないだろう。そう思いつつもう一度頷く。土方さんは旦那が嫌いだから一緒にいられるのが嫌なのだろう。そう思われるぐらいには、俺は土方さんの中で近い存在なんだ。またまた口許が緩みそうになる。嬉しい。
「坂田、総悟の面倒は俺が見るからおまえは授業行け」
「何言ってんの。既に俺が見てるし。後から来た多串君こそ帰れよ」
「誰が多串だ!」
「あーほらうるさいし」
突如始まった口論は、中心にいるのは俺だけど巻き込まれるのが嫌で目を瞑る。いつもなら旦那に加勢するけど今日はそんな気力ないから、二人のやりとりを聞き流す。
そうしたらいつの間にか寝ていたらしい。独特の甘い香りに包まれて、目を開けた。
開けたら目の前に、旦那の顔があった。すぅすぅ寝ている。俺に腕枕して、背を抱き、足を絡めて。あんまりにも密着しているからどきどきして、目のやり場に困って結局また瞼を閉じることにする。
すん、と呼吸すると旦那の匂いがして、ついうっかり昨日のことを思い出した。たくさん求められて、あられもない姿を晒した。そんな俺を、旦那は愛しそうに見ていた。嫌わないで、可愛いと言ってくれた。
「旦那……」
夢魔は嫌われるか利用されるかしかないのだと、教わった。奴隷のように扱われることもあると。
あの男のように自分の欲望を満たすためだけではなく、旦那は、俺を愛してくれる。
「ん……総悟君?」
「おはようございやす、旦那」
「多分もう昼だろうけどね。具合はどう?」
「平気でさ。ちょっと体がびっくりしちまっただけで」
「そっか、良かった」
にんまりと旦那は笑って、額に唇を寄せてくる。そのままぎゅうぎゅう抱き締められて、答えるようにしがみつき返す。
さっきまではどきどき胸が高鳴っていただけなのに、だんだんと体が熱くなってきた。昨日のことを思い出して、息を吐く。
いま、求めたら呆れられるだろうか。でも旦那なら受け入れてくれるんじゃないか。
「だんな」
「なに?」
「……ほしいでさ」
怖くて顔は見られなくて、胸に顔を埋めて言えば、背を撫でていた旦那の手がぴたりと止まった。
やっぱり、こんな浅ましいことは言ったら駄目だったろうか。
恐る恐る、顔を上げて旦那を見ると、いつもは眠そうな赤い目を丸くしていた。その目に嫌悪はないことだけは分かって、ほっとした。
「だん、な?」
「……そんなこと言われたら、我慢できなくなるだろー」
瞬きをして俺を見た旦那の瞳は獣のようで、昨日と同じ、甘い欲の匂いがし始める。
「我慢しねぇでくだせェ」
それが心地好くて、待てずに俺から旦那に口づけた。
または土方が間男でも沖田が不倫相手でもいい。
不倫は心ごと、浮気は体だけ、という区別。
では久々の更新です。五周年記念ネタ続き。銀沖要素が強いです。久々なので思い出しつつ読み返しつつなのでまだ進んでないです。すみません。
リリスの微笑み
瞼を開けると体の節々が痛かった。それに喉にも違和感がある。頭もぼーっとする。初めてだったからだろうなと、ぼーっと見上げていた天井から視線を離し、横を見ると銀色のくるくるした毛玉があった。
毛玉じゃない、頭だ。
ぱちぱち瞬きをするとその頭が上がる。視線が交わったらにこり、旦那は笑った。
「おはよう」
「お、はようございやす」
潰れたひどい声だ。そんな自分の声にげんなりするも、旦那は相変わらず緩い顔をしている。さわり、頭を撫でられて、額に冷たいものが置いてあるのに気づく。億劫に思いつつ手を伸ばしてみると、冷やした手拭いのようだった。気持ち良くてうっとりと、瞼を閉じそうになるけれどそれよりもまずはお礼を言わなければ。
「ありがとうございやす」
「礼なんていらねぇよ。俺の所為なんだから。体つらくねぇ? 大丈夫?」
「うーん。ちょいとだるいでァ」
「熱も出ちまったからな。今日はゆっくりしろ。俺も傍にいてやるから」
額に当てられていた手拭いが外されて、洗面器の水につけてから絞られる。久々に寝込んだ上に久々にまともに看病されるから、なんだかむず痒い。
俺が授業を休むのは別にいいけど、俺のせいで旦那に迷惑をかけるのは嫌だ、そう空咳をしながらも告げると困ったような顔をされた。
「俺が傍にいたいんだよ」
「……っ」
目を見て真摯にそう言われて、どきりとした。顔に熱が集うのが分かって視線をそらす。旦那はこんなキャラだったか。少し思考を泳がすと、ふざけた口調ではあったがこっぱずかしいことを言われたことは多々ある。何れも本気だったのならば、冗談だと交わしていたのが申し訳ない。
よくよく考えてみれば、随分とアプローチされてきていたのだ。俺は、気づかずに酷いことをしてきたのかもしれない。
「……旦那」
「なに?」
視線を旦那に戻す。変わらず優しい目をしていて、むず痒くなる。
こんな俺を好きなのだと、旦那は言う。こんな俺を。全部知っていて尚、嫌わないで、甘やかして優しくする。こんな風に愛されるのは初めてで、どうしたらいいのか分からない。
ただひとつ分かるのは。土方さんと一緒にいるよりは、気が休まるということ。
「俺、旦那のこと好きだけど、土方さんのが好きなんでさ」
「……うん」
「アンタを、利用することになるけど、それでもいいなら一緒にいてくだせェ」
ずるい俺は、わざわざ言葉にしてアンタに選ばせる。捨てないで、側にいてって必死に思いながら。
俺が夢魔だって知っていながら、体だけじゃない、俺自身を愛してくれた初めての人だから。大切なのに結局は今も、傷つけているけれど。
「それでいいよ。一度寝たぐらいで靡かれても困るし」
そう言って頭を撫でてくれる大きな手に安心する。土方さんが手に入らないから逃げているだけだと分かっている。旦那だって当然分かっているだろうに。
じゃあ俺と同室ね、とにっと笑う旦那にこくりと頷く。
そのままうとうと、眠りに落ちるべく意識を手放しかけていれば、コンコン、とノックが聞こえてきた。それが大分夢うつつな状態だったから目蓋さえ開けるのに重たくて、ん、と小さく声は出ても起きる気力がわかない。無視しちゃおうか、思っていれば旦那が瞼の上に手を置いた。
「俺が出るから、寝てな」
「……へい」
あとで礼を言えばいいかとぼそぼそ聞こえる声を聞き流していると、怒鳴り声が聞こえてきてはっと目が覚めた。
土方さんの声だ。
若干重い瞼をぱちぱちと瞬かせていると、どたどた、荒っぽい足音が聞こえてきた。億劫に思いながら部屋の入り口に視線を向けると、土方さんが入ってきたところだった。後ろから困り顔というか呆れ顔の旦那の姿も見える。
きっと眉をつり上げ、うるさく部屋に入ってきたけれど、俺と視線が合うなり土方さんははっと表情を変え、足早に枕元へ寄ってきた。
「熱あんのか、平気か?」
「ん、大丈夫でさ」
「だから寝込んでるつっただろー」
「うるせぇ」
さわり、頬に手の甲を当て熱いなと呟く、優しげな声にどきどきした。心配されてるのが嬉しくて、にやけそうになって布団を口許まであげる。そしたらひとつ、不安が生まれた。
昨日この部屋で、俺は旦那に抱かれたのだ。その証が、残っていたらどうしよう。匂いだとか空気だとか、タオルだとか。もしそれが、土方さんに見つかったら。
土方さんだけには知られたくない。淫らな行為が何よりのごちそうな、この体のことを。いま寝込んでいるのだって、初めてだから食べすぎてしまったようなもので、本当は心配される筋合いはないのだ。
すん、と息を吸っても最中のような甘い匂いはしないから大丈夫だと思うけれど。
「寝込んでるとこ悪いが、総悟」
名を呼ばれて漂わせていた視線を土方さんに戻す。熱があるからか視界が潤んで、わりと至近距離に土方さんがいるけれど邪なことは考えずに済む。
「……なんでさ」
「コイツを選んだって本当か」
くい、と親指で旦那を指す土方さんになんのことだろうと僅かに首をかしげる。するとそれだけで伝わったのか、部屋のことだよと旦那が教えてくれた。
もう言っちゃったのか、と思うと同時に旦那が言ってくれてよかったと思った。せっかくの土方さんの誘いを、同室になるチャンスを自分で絶つのはかなり勇気が必要だろうから。いつ血迷うか分からない。報われやしないんだからただ、傍にいられればいいけれど、劣情に突き動かされて何をするか。もしも襲いでもしたら、こうして過保護なぐらい世話を焼かれることもなくなってしまう。そんなのは嫌だ。
だから、こくりと頷いた。
「旦那に、頼みやした」
「……本当にこいつでいいのかよ」
「へい」
「気が変わったらいつでも言えよ、総悟」
変わることはないだろう。そう思いつつもう一度頷く。土方さんは旦那が嫌いだから一緒にいられるのが嫌なのだろう。そう思われるぐらいには、俺は土方さんの中で近い存在なんだ。またまた口許が緩みそうになる。嬉しい。
「坂田、総悟の面倒は俺が見るからおまえは授業行け」
「何言ってんの。既に俺が見てるし。後から来た多串君こそ帰れよ」
「誰が多串だ!」
「あーほらうるさいし」
突如始まった口論は、中心にいるのは俺だけど巻き込まれるのが嫌で目を瞑る。いつもなら旦那に加勢するけど今日はそんな気力ないから、二人のやりとりを聞き流す。
そうしたらいつの間にか寝ていたらしい。独特の甘い香りに包まれて、目を開けた。
開けたら目の前に、旦那の顔があった。すぅすぅ寝ている。俺に腕枕して、背を抱き、足を絡めて。あんまりにも密着しているからどきどきして、目のやり場に困って結局また瞼を閉じることにする。
すん、と呼吸すると旦那の匂いがして、ついうっかり昨日のことを思い出した。たくさん求められて、あられもない姿を晒した。そんな俺を、旦那は愛しそうに見ていた。嫌わないで、可愛いと言ってくれた。
「旦那……」
夢魔は嫌われるか利用されるかしかないのだと、教わった。奴隷のように扱われることもあると。
あの男のように自分の欲望を満たすためだけではなく、旦那は、俺を愛してくれる。
「ん……総悟君?」
「おはようございやす、旦那」
「多分もう昼だろうけどね。具合はどう?」
「平気でさ。ちょっと体がびっくりしちまっただけで」
「そっか、良かった」
にんまりと旦那は笑って、額に唇を寄せてくる。そのままぎゅうぎゅう抱き締められて、答えるようにしがみつき返す。
さっきまではどきどき胸が高鳴っていただけなのに、だんだんと体が熱くなってきた。昨日のことを思い出して、息を吐く。
いま、求めたら呆れられるだろうか。でも旦那なら受け入れてくれるんじゃないか。
「だんな」
「なに?」
「……ほしいでさ」
怖くて顔は見られなくて、胸に顔を埋めて言えば、背を撫でていた旦那の手がぴたりと止まった。
やっぱり、こんな浅ましいことは言ったら駄目だったろうか。
恐る恐る、顔を上げて旦那を見ると、いつもは眠そうな赤い目を丸くしていた。その目に嫌悪はないことだけは分かって、ほっとした。
「だん、な?」
「……そんなこと言われたら、我慢できなくなるだろー」
瞬きをして俺を見た旦那の瞳は獣のようで、昨日と同じ、甘い欲の匂いがし始める。
「我慢しねぇでくだせェ」
それが心地好くて、待てずに俺から旦那に口づけた。