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梅々

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ロイヤルストレートフラッシュ

漫画のベタにぽすたーからーを使ってみた。いや、ついでですついで。B5のカラーの修正につかったんで。
中々いいぞ、ぽすたーからー。ベッターと塗れる。細かいとこはまぁそれなりに?
これから頻度が増えそうです。

というか銀魂。アニメ。久々に初期の頃の見て懐かしみました。そんであと半年はアニメで毎週木曜に見られるんだね。
にしても、初登場時の「沖田」発言を深読みしようとしてしまいます。未だだったのか、それともダジャレのつもりか(オイ
とにもかくにもおいしいね。





それでは百人一首でミツバさん・・・。
二周忌ですね。
















あなたを思い出す空は全て

夕暮れに染まっていた





強く儚い者たち





行ってきます。
刀を携え、両手でトランクケースを持ち言うと、朗らかな笑みを浮かべていた近藤さんが頭を優しく力強く撫でた。心配そうに少し表情が曇って、それに大丈夫でさァと返すとそうか、とまたいつもの見ている人にも笑顔が移りそうな近藤さんに戻った。

「行ってらっしゃい。のんびりしてきていいからな」

「へい。行ってきます」

振り返りながら門を出て左に曲がるまで手を振り続ける。皆の姿が見えなくなって、前を向くと事前に近藤さんが何処かから借りてきていた黒い車に土方さんが寄りかかり煙草を吸っていた。
俺と目が合うなり、土方さんは煙草を踏んで火を消し車に乗り込んだ。煙草のポイ捨ては罰金だというのに。軽く肩をすくめてから、後ろの席に座ろうとドアを開くと土方さんの荷物が占領していて、辛うじて俺の荷物が乗るぐらいだった。
とりあえず荷物を置いて、バックミラーを通し運転席に座る土方さんを見る。バチリと目が合って視線だけでなんだ、と問われる。

「俺どこ座んの」

「助手席に決まってんだろ」

後ろに座るつもりだったのに、とぼやきながらシートベルトをしていると仕方ねぇだろ、と困ったような表情で言われる。
困ったのは此方だ。いまの状況でアンタといても、会話は弾まないし何も面白くない。昨日まではなんともなかったのに、今日は。
俺もアンタと同じだから、文句は言えないけれども。

残暑が厳しく、寝汚い俺だけでなく他の人たちも布団から出るのを嫌がるような日々が続いていたというのに、今朝はとてもすっきりと目が覚めて。俺にしては中々スムーズに支度が出来たと思う。隣に座っているこの人からしたら当たり前のことなんだろうけど。
風も強くて、涼しい。これはきっと姉上のお陰なのだろう、そう思うと少し、悲しくなった。
高速に乗り、窓の外をぼんやり眺める。見慣れた風景が過ぎ去って、建物の数も減ってくる。
反対側の景色を見ようと目をそらしかけて、あ。と声が溢れた。
ギリギリ見える程度の高さのただっぴろい、丘。一本だけある太く立派な木は確か金木犀だった。彼処から初めてターミナルや城を見て、興奮したのを今でも覚えている。
江戸へ着く前夜に、皆で野宿した場所だ。何年も前の思い出の場所がこうして今も変わらずあることが嬉しい反面、あの頃はこうなるなんて想像したことさえもなかった、と自分の愚かさを見せ付けられる。

「何かあったのか?」

「ただの丘でさァ」

「丘・・・? ああ、金木犀の?」

「・・・覚えてたんですねィ。びっくりだ」

そこまで覚えている必要もない過去は直ぐ様頭の中から消去する人だと思っていたから少し、意外だ。芯まで堅物なわけじゃないから当然といえば当然だが。
次第に建物の姿が消えていき、代わりに緑色の景色が広がっていく。生まれ故郷までもう少しだ、と思えば自然と顔の筋肉が緩んでいく。
辛いこともあったけれど、楽しかった。何もしてあげられなかったけれど姉上と二人で過ごした日々は大切で、これ以上ないものだった。
だけれど、それは過去でしかない。

「サービスエリア寄るか?」

「SAって言えねぇんですかィ。喉渇いた」

返事の代わりに車は左へ車線を変更する。丁度空いていた自販機の前に車を停める。自然に土方さんは車を降りて行って、自販機へと向かう。
大分、近い。空気がおいしくなった、かもしれない。俺は空気の味わかんないけどな、と山々を見ていると、頬にひんやりとした物が触れた。

「つっめたッ!」

「いいから持ってろ」

理不尽な言い方にムッとしつつま渡されたアップルティーをありがたく受取り一気に半分程飲む。俺が飲み終えると同時に車が発進して、待っていたのだろうかとか思う。
まさか、な。





お墓がある高台の麓に車を停める。この先は道が細くて車が通れないのだ。パラパラと見慣れた長閑な町並みに郷愁が頭を出すと同時に降り出した雨は時折風に揺れ、横から吹き付ける。
俺が途中で買った花を持って、座席から降りると土方さんが濡れないように、と半分だけ傘を俺の方に差し出した。傘は予備が一本有っただけらしい、相合い傘かよと文句を言えば我慢しろと返される。
中途半端な距離を保ち坂を登りきる。彼岸花の群生を背にぽつりと、他の場所よりも広い面積をとっている、姉上の眠る場所が視界に写る。
仕送の他に貯めていた金を、墓石に使うとは思わなかった。

「久し振りです、姉上」

サァァァ、と風が返事をするかのように強く吹く。花を二つに分けて飾り、線香に土方さんのライターで火をつけ、半分に分ける。

昨日の夜は姉上の事を想って遅くまで眠れませんでした、俺も・・・土方さんも。

「大好きな姉上との思い出も、過去になっちまったんです」

「・・・」

「大切に想ってる気持ちが嘘みてぇになっちまったんでさァ、・・・土方さん」

「・・・総悟」

そんな顔をするくらいなら、泣いてくれればいいのに。ココロが痛くなる表情に、胸がズキズキと痛む。昨日までは本当に、大丈夫だったのに。
古傷が化膿して、胸を染める。
泣けていたならこんな風にならなかったかもしれないけれど。

「蓋をするだけじゃ駄目なんだ。・・・真っ正面から向かいあって、乗り越えなくちゃな」

「アンタも俺も、でしょう」

無理だから馬鹿みたいに、心を痛めるしかなくて。
もしも、と何度も思った。その度土方さんが辛そうにしていたのも、知っている。だけどどんなに否定したって、俺が居なければ良かったに決まっている。
また、そんな風に考えて現実逃避。
向き合わなければいけないのに。

「お前がいたから・・・乗り越えられたんだ」

「・・・・・・へ・・・?」

思いもよらぬ言葉に隣に立つ土方さんを見上げる。遠くではなく真っ直ぐ俺を見ていて少し、居心地悪さを感じる。
そんな話初耳だ、嘘じゃねーの。有り得ない、と否定すると苦虫を百匹近く一気に噛み潰したような顔をして本当だと忌々しそうに呟いた。
ばかだ、この人は本当にバカだ。自分から弱味を握らせるなんて。
でも、ね。

「アンタも俺を本当にバカでさァ」

「・・・分かってるよ」

「俺も、土方さんや皆がいたから、こうしていられるんでさァ」

「・・・そうかよ」

「えぇ、そうでさァ」

思い出は汚れることなく、姉上はいつまでも綺麗なままだ。新しく追加されることはないけれど。
だから俺が代わりに。

「土方さんが浮気したら俺が体罰を与えやすから安心しててくだせぇ、姉上」

「なにその体罰って。・・・つーか浮気なんかしねぇし」

さぁどうだか。
静かに降っていた雨は小雨程度に弱まって、傘を閉じた俺を優しく濡らした。





#100
ももしきや 古き軒端の しのぶにも
なほあまりある 昔なりけり

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