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梅々

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体と心

通っていた小学校の前を今日の帰り歩いてたら、教師×小学生もいいなと思った。先生は近所に住んでる人で、未だ若くて・・・みたいな。すると土方の変態っぷりは増加します。とことん変態にしましょうか、もう(笑)
という冗談はさておき。
黒執事借りましたがシエル好き。ドSとドSっていいよね。





それでは百人一首。沖土、のつもり。書きたかったものの50%も書けてません。















たとえば、煙草を吸っている時の顔。
たまに見せる、優しい笑み。
本気で怒ったときの瞳。
嫌がってるときの寄せられた眉だとか。

殺したくなる。





領域外





台風が、今日の午後江戸上空を通過するでしょう。
そういうアナウンサーの声を確かきいたから、俺は思いきって土方さんに声をかけた。午後、見廻り一緒に行きやせんか、と。案の定驚いた表情を浮かべて、その後嬉しそうに笑ったから、またいつもの感情を拳を強く握って堪えた。後で手を見てみたら爪の痕がくっきり残っていて痛そうだ、と他人事のように思ったらチリリと痛んだ。
痛んだけれどそれは心だったのか爪痕だったのか。
台風が来てる、というのに見廻りに誘う俺も誘われて喜ぶ土方さんも多分、世の中から見たら愚か者の領域だろう。

今日こそ、と強く願う気持ちの理由は何なのか、分からないけれど。
行ってきやす、いつものように言って、先に歩き出した土方さんの後を追う。
俺が本気で刀を向ければ。確実に死ぬ、というのは土方さんだって認めている。
『ようはお前の気持ちの問題だろ。未だ殺したくねぇから無意識の内に殺気を隠しきれねぇんだ』
果たしてそうなのだろうか。本当にそうなのなら、俺は死にたくなるよ、土方さん。

「珍しいなァ」

「何がですかィ」

「お前が見廻りに誘うなんて」

「台風が来てやすからね、アンタにしとどに濡れてもらおうと」

そう言うとチラリ。傘を傾けて俺の方を盗み見てきた。いつもみたいに怒鳴るだろうと思ったが意外にも、土方さんはそうか、と呟いただけだった。
もしかして、バレてる?
そんなまさか。
雨音が段々と強くなって、傘が雨を弾く音以外何も聞こえなくなる。いま、刺せば。何も分からないまま、最後に裏切られて土方さんは死んでゆくだろうか。・・・いや、まだ早い。
こんな、いつ誰かが現れるか分からないところで、何もできない。今日の俺は中々知能的。

何でこんなに憎いのか。大事なものを沢山奪われたからだろうか。それなのに、姉上のものになってくれなかったからか。それ以外に理由なんて見付からない。見付からないけれど、何だかしっくりと来ない。
誰か、教えてくれないだろうか。
ザァァァァ、と世界を染めゆく雨は俺や土方さんのズボンをも濡らしていく。ぴっとりと張り付いて、気持ちが悪い。ムスッとしながら足元を見ていたら、傘の端からこちらを向いている靴が見えた。顔をあげると、珍しく無表情な土方さん。

「なんですかィ」

「・・・川付近見に行かないか? 周辺住人が避難してっか確認しに」

「別にいいですぜ」

好都合だ。
濁流の激しい川ならば、周りに人がいることは此処より可能性が低い。一気に仕留め、川へ放ってしまえば―――――。
そう思ったらズキン、と胸が痛んだ。だから骸は手元に置いておこう。屯所まで、運んでやろう。
裏道を右に左にと行くと、河川敷がすっかり見えなくなり、茶色く濁った水がどうどうと流れている川が目の前に広がっていた。非番の日はよく河川敷でよく近所の子どもらと遊んでいたから、一日も早く元に戻ればいいと思う。
隣を見ると同じような無表情で川を見ていて、今なら仕留められる、と本能的に悟る。
今、斬りかかれば。

「―――なぁ、総悟」

「・・・ッ!?」

左手を鞘にかけると同時に声をかけられて、驚きを隠せない。タイミングが悪すぎる、もう少し、俺が速く動いていれば・・・。
無言で視線を返すとフッ、と憎らしい程男前な顔が微笑を浮かべた。

「お前はどうしてそんなに、俺を殺したいんだ?」

「・・・気付いてやしたかィ、やっぱ」

「なんとなく、な。別に殺りたきゃ殺ればいい。でもなんとなくでてめぇに殺られんのは嫌だ」

なんとなく、じゃあなければいいのか。けれど言えない、明確には自分にだってわからないから。
嫌い、だから殺したい。なんて飛躍しすぎだろうか? 理由を求めたことなんて子どもの頃からないから、今更分からない。

「アンタを殺りたくて、嫌いで・・・そうじゃねぇと俺じゃなくなるんでさ」

「じゃあ俺が死んだらお前はお前じゃなくなるんじゃねぇの?」

「―――そうなったら、アンタの後を追ってもいいや」

半分の本心と半分の嘘を自嘲とともに呟くと、視界の隅に隊服と同じ烏色の傘が舞った。次いで視界に写ったのは、晴れかけた空の色。
見慣れた、土方さんの目の色。それが近付いてきて唇が覆われていた。

「ッ!? ~っ!!」

思いきり唇に噛みつくと、口唇を蹂躙していたそれが離れていった。
口内で微かに血の味がする。ペッと、吐き出し口を拭い、睨みつけると怒るでもなく痛がるでもなく、傷口に触れ此方を見ていた。
その眼差しにゾクリ、と背筋が震える。殺意に似た感情で胸が覆われて、斬りかかりたいと体が疼く。

「ヤるんだったら、此方の方にしとけよ。どうせ未だ童貞だろ、お前」

殺意じゃなく劣情だったのだと知ると同時に喧嘩をふっかけられて、ニタリと笑い返す。
殺したかったのは、気に食わなかったのは、手に入らなかったから、なんて子どものようだ。だけど、結果さえ良ければそれでいいじゃないか。

「アンタ俺に掘られたいってんですね? 上等でさァ、覚悟しなせぇよ」

いつの間にか雨は止み、手に持っていた傘は道路の反対側に転がっていた。自分の分ともう一つを片手に持ち空いた手で土方さんの胸ぐらを掴み噛みつくように口付ける。
痛みに顔をしかめる。が、然し嬉しそうでさえある表情にもしかしたらずっと、この人はこうなることを望んでいたのかもしれないと思った。

「土方さん、アンタ正真正銘のマゾなんですねィ」

「違うっての。・・・まぁ、お前が俺のものになるってなら何でもするつもりだったけどな」

それを世ではマゾヒストと言うのだと、心内で呟いて、土方さんの腕を掴みながら足早に帰路についた。





#97
来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに
焼くや藻塩の 身もこがれつつ

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