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梅々

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恵方巻き食べたい。

やっとサーチサイト様に登録できた・・・。これUPしたらほかにも登録できるかな?
これ終わったら沖土をかきたい。
では、節分ネタです。












ヒラリ、と散る紅梅に、昔の記憶が鮮やかに蘇った。見目麗しゅう、クソ餓鬼の姿が。

「土方さーん」

屯所の中を、総悟の声がこだまする。あの日も、アイツは同じように俺の名を呼んだ。

                 夢の欠片   

土方が近藤に拾われ一、二年目の節分の日、急に近藤に用事が入った。運悪く、ちょうど道場には土方と沖田の二人しか残らない。最悪な組み合わせである。

近藤は土間でわらじを履いている。

「総悟の事、頼んだぞ。トシ」

「・・御隠居がいんだろ。あのじーさんは?」

「一緒に行かなきゃなんねぇんだ。トシ、頼む!」

わらじを履き終え、向き直って顔の前で手を合わせる近藤に、苦い顔をした。

正直、嫌でたまらない。

あまり信じていないが、“相性”が悪いのだろう。剣の腕が天才的だ、というのも気に食わないし、近藤が傍に居る時は必ずと言ってもいい程べったりだし、廊下などで会う度に暴言はいて走り去るし。

別に何もしていなく・・・はないか。

兎に角、断りたい。断りたいのだが、世話になっているし・・・。

「・・・しょうがねぇな」

未だ拝むように手を合わせている近藤に溜息混じりに承諾した。

すると、パーッと顔を綻ばせ土方を抱き締めた。

「トシ!ホント助かる!ありがとな!」

「こっ・・近藤さ・・。苦しっ・・・」

骨がミシミシいう程強く抱擁され、漸く離されたときにはむせかえってしまった。

「あ、そうだ」

そんな土方の様子に近藤は気付かず、懐から小銭入れを取出し、小銭を五、六枚土方に寄越した。

小遣いか?と土方が訝しげに見ていると違う、と苦笑した。

「今日は節分だがら、総悟に豆と恵方巻きを買ってやってくれ」

なんで俺が、と反論しようとしたところで、近藤が縋るような目で此方を見てきた。

「アイツ、こういう祝い事したことねぇんだってよ。だから・・・」

 そういえば、アイツと姉は少しボロ・・古びた家に二人きりで棲んでいるようだった。

女手一つじゃいい稼ぎはできないのだろう。祝い事が出来ない、というのも無理はない。

・・・意外と可哀相なヤツなのかもしれない。

「・・・わかった」

「近藤さーんっ!」

そこへ丁度沖田がやってきた。笑顔で走ってきたのだが、土方と目が合うと急に仏頂面になり土方の横を半円を描くように避けて通り過ぎた。

「近藤さん、何処行っちまうんで?」

瞳を揺らし、着物の裾を掴んで切なげに言う姿はとても可愛らしい。なのに何故、大袈裟な程自分を避けるのか。

・・・まぁ俺が悪いんだけど。原因も分かってるし。でも沖田は名誉挽回(?)させてくんないし。

別にしたくねぇけど。

「悪ぃな。約束してたのに・・・。トシに頼んどいたから、な?」

チラ、と土方を見て、沖田は不満そうに言った。

「でも・・・」

「頼むよ。な?」

「・・・わかりやした」

渋々、沖田は近藤から離れた。

見送ったはいいが、それからが問題だ。ふと気が付いたのだが、近藤さんからの伝言を伝えたぐらいであまり会話らしい会話をした事がないのだ。

普通に話せばいいのだけれど、普通ってなんだ?子供に接した事ねぇから全くわかんねぇ。

そう考えていた事が伝わってしまったのか、沖田は土方を一瞥し、道場の奧へと歩き出した。

「あ、オイ!待てよっ・・・!」

「・・・別にムリしねぇでいいですぜ。俺は昼寝してるから、アンタは好きなように」

そう言ってもらえるととても有難い。子供のくせに大人の事情(少し違うが)をよく知っている。

「・・・じゃあ」

そう言った時の後ろ姿がいやに切なげでとっさに、沖田の腕を掴んでしまった。自分でも驚く事にちゃんと手加減をして、だ。さっき近藤さんに思いっきり痛い目にあったからかもしれない。

・・・だが、更に驚いたのは、沖田の腕の細さにだ。

俺も餓鬼ン頃は腕が細ぇっつわれてたけど、コイツはそれ以上に細い。剣の腕は俺とほぼ互角なのに。

「・・・え?」

一呼吸おいてから振り返った沖田は困惑していた。

・・・俺がさっき反応しなかったから、もう諦めきっていたのだろう。

「・・・何?」

「買いモン行くぞ」

「・・・嘘、だろィ?」

「嘘じゃねぇ。大っ嫌ぇな俺とじゃ嫌だろーが、我慢しろ。ほらさっさと行くぞ」

未だ驚いている沖田を引っ張り、土方は外へと出た。


「・・・嫌、なら無理しねぇでいいのに・・」

後ろへと流れていく屋台を眺め、沖田は呟いた。どうやら祭りの喧騒で聞こえないらしい。

未だ手を繋いだまま、土方はズンズン歩いて行くので、はたから見ていると引きずられているようだ。その歩く速さに、沖田は勝手に“嫌々だからさっさと終わらせたいんだ”と一人勘違いしていた。まぁ、普段自分が何をしているか分かっているし、土方はお世辞にも子供好きと言えない。

突然、土方が立ち止まった。あまりにも突然だったので、沖田は勢いに任せて土方にぶつかってしまった。

「いってぇ・・・」

鼻を擦る沖田を数秒見た後、土方はひょいと沖田を肩にのせた。

「何するっ・・・!」

「豆ってあれでいいんだよなァ?」

土方が指差す方を見やると大きく「恵方巻き」と書かれた屋台の隣に「豆」と書かれた屋台があった。が、沖田はきかれても分からない。

「・・・多分」

「・・・ま、間違ってたらまた買いに来りゃあいいんだ」

その台詞を聞いて、沖田は不思議そうに首を傾げた。なんで、俺といんの嫌なのに“また買いに来ればいい”と言うのだろう。幼心に沖田は悩んだ。が、拙い頭では何もわからない。

 悩んでいる間に買い物は済んでしまったらしい。

「そのままと、おぶられんのどっちがいい?」

降りる、という選択肢はないらしい。悩んだ末、おんぶ、と答えた。




前半終了。結局、前・後半になってしまいました。
沖田、何才?

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